反証可能性については適切な仮説の立て方-序でも軽く触れましたが、もう一度ポパーの言葉を思い出して見ましょう。
どのような手段によっても間違っていることを示す方法がない仮説は科学ではない
さて、序でも説明した通り、ここでは反証する「手法」があることが重要なのです。
例えば「この人の言うことには逆らえない」なんて場面が日常でもありますよね。
これは逆に言えば、この人の言ってることは仮説とは言えないということになります。このような現象を心理学ではハロー効果といいます。
人の肩書きや地位によって、その言葉の意味合いやニュアンスが大きく変わることを意味します。
しかし仮説の検証をする上でハロー効果を適用してしまえば、それは仮説ではなくなってしまいます。その人の都合のいいように解釈できるようにデータを組み替えたり、データを改ざんしたりしてしまい、間違った判定につながってしまいます。
さて、反証可能性について話を進めていきましょう。
全ての仮説は反証可能性を持たなければならないというポパーの主張は、全ての仮説は反証されていないだけで、真とは言えないとも言えます。
ニュートン力学の崩壊と反証可能性
例えばニュートンが発見した万有引力やその他の法則を元に物理学というものが誕生しました。
しかしアインシュタインの特殊相対性理論と一般相対性理論の発見によって、ニュートンが構築した物理学は反証されてしまいます。
故に現在、ニュートンが構築した物理学は古典物理学と呼ばれるようになりました。
しかしニュートンは反証可能性を意識して残していたのでしょうか?
もしニュートンが反証される可能性があると知っていたら、彼はそれについても検証していたでしょう。
ニュートンにとってアインシュタインは予知できない存在であり、彼によって自らの理論が破壊されるとは思っても見なかったはずです。
つまり反証可能性とは、仮説を立てる立場の人間が故意に(あるいは意識的に)持たせる必要はありません。
しかし客観的な立場において反証可能性があることは大切なのです。
では、どうしたら反証可能性を持たせることができるのでしょうか
それは、その仮説の検証が事実に基づいているかで判断できます。
では事実とは一体なんでしょうか?
事実とは再現性をもつ事象のことです。再現性とはだれがやっても、同じ結果が得られるという意味です。
つまり、その検証がだれがやっても同じ結果になるかを考えれば、そこには必然的に反証可能性が生まれてきます。なぜなら反証するためには、それを覆す新たな事実を発見すればよいからです。
まとめ
仮説は反証可能性を有していなければなりません。反証可能性を持たせるには事実に基づいた検証が必要であり、だれがやっても同じ結果を得られるかを判断することで、反証可能性を持っているか診断できます。
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